【路地の蕎麦屋】
皮膚科の帰り
ふと気が向いて、大通りから離れて歩くと、間口の狭い蕎麦屋が一軒。
おや、と気を惹かれてメニューをながめ、しばし逡巡するも店内へ。
海老天蕎麦を頼む予定が、季節限定と書かれた水茄子の蕎麦が目に入る。
「来週にはもう、なくなるかもしれません。いい水茄子が入ってこなくなるんで」
なるほど。
それならこれにしよう。
そば茶をいただきながら、読みかけの小説を開く。
「お待たせいたしました」
想像より、やや細いと感じた蕎麦の上に、水茄子や卵、キノコの姿。鮮やかな大葉の緑が食欲をそそる。
やはり、まずは蕎麦から。
うん、うまい。
蕎麦の風味が慎ましやかに、しかし、はっきりとした存在感を持って口内に行き渡る。
次は素揚げの水茄子を。
みずみずしさを損なわず、ほんのりとした甘さを含んだ味わいに目が細まった。
素揚げキノコのくっきりとした味を、大葉がさわやかにまとめてくれる。
うん、うん。
大根おろしと蕎麦で、口の中がさっぱりとする。
ここにいるよと言ってくる水茄子やキノコを、大葉やカイワレ大根が引き締めて、大根おろしと蕎麦が楚々と舌を喜ばせてくれる。
うん、うん。
「蕎麦湯、置いておきますね」
蕎麦つゆに残る大根おろしや大葉、カイワレ大根、そしてゴマと、素揚げの水茄子やキノコの気配をゆっくりと堪能。
「ごちそうさまでした」
今は自短営業で、午後8時までだそう。
店内から出る前に、九条ネギを使った季節限定蕎麦の写真が目に入る。
うぅむ、そうか。
どうやら、また近いうちに、足を運ぶことになりそうだ。
なんて‼︎
ね‼︎
おいしかったー!
[0回]